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Channel: たんべぇ山から
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知床連山縦走 【北海道】 2012年7月1日〜2日<その2>

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 シレトコスミレ



<その1>からの続きです。

 7/2(月) 二ツ池キャンプ場(6:30) → 南岳 → 知円別岳 → 第三火口 → 硫黄山山頂(12:40/50) →  沢出合 → 新噴火口 →  登山口(17:10) →(熊に遭遇)→ カムイワッカ(17:50)


      



 

7月2日 縦走二日目



一晩中、吹き荒れる風は恐怖を感じるほど、それでも三時半に起きて、フードロッカーに食料を取りに行くときまでは
雨は落ちていなかった…


その後、テントを撤収する朝6時過ぎは霧雨ながら強風に煽られ、たちまちびしょ濡れとなる。
この時、私はシャツ二枚にレインウェアの三枚を着ていたけれど、この天候だからとフリースを重ねるように促され、
雨の中で、雨具を脱ぎ、中間着としてフリースを重ねた。
この判断は大正解で、その後の疲労を最小限に押さえることができたと思う。

 6時30分発   
昨日の夕刻、反対方向からテン場に着いた単独の男性は先に出発した。
男性によると、二ツ池から南岳の稜線に出るには天の池を横断するが、道がわかりづらいとのこと。
確かに、横断後も取り付きを見つけることができず、初っぱなから立ち往生する。
何度も行ったり来たりしながら、ようやく登山道を見つけることができて、一安心…
ケルンを経て、歩きづらいハイマツ帯を行く。


南岳らしいピークを過ぎ、砂礫地にさしかかった時、シレトコスミレを発見!!
いよいよ、シレトコスミレエリアに突入したらしい…

ザックに仕舞いこんでいたカメラを取り出し、さっそく撮影する。

そう、今回の北海道遠征はこのシレトコスミレがメインだった…
あいにくの天候だけれど、なんとか憧れのスミレを見ることができて感慨も一入だ!!

欲をいえば、もう少し天候が良ければと思うけれど、こればかりは仕方がない… 


シレトコスミレ


メアカンキンバイ

傘を取り出すことができないまま撮影していたので、カメラもレンズもびしょ濡れで曇ってしまう。
タオル、レンズ拭き、すべてがぐしょぐしょ、ザックの奥にはビニールに包んだタオル、ハンカチがあるが取り出すことができなず、もはや手立てがない。
コンデジを車に置き忘れてきたのが痛い…

エゾコザクラ咲く湿地を抜け、知円別分岐の登りに差し掛かる。
分岐を左にとり、崩れやすいザレ場をトラバースする。道はハッキリしないし足元はズルズル、
本当にここを進んでよいのか不安がよぎる。

白い痩せた尾根(中の廊下)を慎重に歩き、コケシ岩下で一本とる。
さらにザレた白い砂礫の道を行くと、小さなケルンがあり、右手に下るように踏み跡がある。
しかし、ここが問題!!
踏み跡は雪渓へ下りるようになっているが、その先が見通せず雪渓の上で立ち往生する。
何度も行ったり来たりきながら、結局道がわからないので体が冷えきり危険を感じる。
とりあえず下降点のケルンのある場所まで戻り、適当な場所をみつけてビバーク、靴のままテントに入り、ガスに火を点けるとほんわか暖かくなりホッとする。

落ち着いたところで、相方のも〜りさんが空身で道を探しに出かけた。
15分ぐらい経った時、「道、あったよ〜〜!!」とルートを見つけて戻ってきた。その時は信じられない気持ちと感謝の気持ちでいっぱいになった!!
さっそく撤収し、先を急ぐ!!
登山道は第2前衛峰の裾野をぐるりと巻くように急傾斜の雪渓を登った先に小さなピンクのリボンがあった、よくぞ、こんな小さな目印を見つけたものだと、改めても〜りさんの行動力に感謝する。


第2前衛峰岩峰、第1前衛峰を越えて、硫黄山の肩に到着!!

ここまで来れば安心、せっかくだから、硫黄山のピークを踏むべくザックをデポして岩場に取り付く。
浮いた石、不明瞭なルートに苦労したが、何とかピークを踏むことができた。
岩陰で風雨を避け、携帯でタクシーの予約をするも、、電波は良好なのに相手が捕まらない…
最後の手段として、自宅にいるはずの夫に中継点となってもらい、ウトロのタクシー会社に電話をかけてもらい、
カムイワッカに午後4時に迎えにきていただくよう頼んで、下山する。
後で、、わかったことだが、ウトロのタクシーは会社に電話すると運転手さんに転送されるようになっていて、仮に、運転手さんが電波の届かない場所にいると連絡がつかないのである。
硫黄山頂から電話した時はまさにそのような状態で、夫と連絡が取れて助かった!!


デポしたザックを回収し、いよいよ硫黄沢へと下る。
ところが、またまた道が見つからない…
雪渓をトラバースするのに躊躇したのが良くなかったかもしれないが、半分解けた雪渓のトラバース以外に安全な場所があるかもしれないとあっちこっち探しまわっているうちにますます風雨が強まり、レインウェアーが役に立たないほどフリースを含め衣類がびしょ濡れになり、寒さで震えが止まらない。

持っていた地形図も濡れて滲んで役に立たず、防水加工された昭文社の地図だけが頼り…
こんな大事な時に、二人とも地形図を濡らしてしまったのは致命的です。
ウブシノッタ沢に迷い込まないように細心の注意を払っているつもりが…こともあろうに。。。。
「ここ以外に道はないよね〜〜ここを降りようか…?」などと言ってしまう自分がいるのでした。
まさにそれこそが、ウブシノッタ沢だというのに…

これが最後と、果敢にもも〜りさんが再度、道を探しに空身で出かけていった!!
その間、急斜面で彼女と自分のザックを離さないように確保していた。下をみると、そのままス〜ッとザックもろとも吸い込まれていきそうな錯覚に襲われる。
もう一度、硫黄の肩に戻り、今夜はビバークかもしれないと考え始めた時、「道が見つかったよ!!」と戻ってきた!

その後、雪渓を二回トラバースして等間隔に打たれた杭に出会った時は心底「助かった!!」という

実感がこみ上げてきた。

ザレた道もこれまでの不安が払拭され、快調に飛ばすことができた。
硫黄沢の雪渓の中間点までくると、ホッとしたのか急に空腹を感じ、小休止して潰れたミカンを3個をずつ一気に食べ、ポケットに入っていた飴を一個ずつ食べた。
飴は雨で表面が溶けていたけれど、この一個でとても元気が出た気がする。

雪渓は緩んでいて、迂闊にも踏み抜いてしまった。!!
突然、雪渓下の沢に尻もちを付き、流れに持って行かれ、ザックを背負った足が上流に向き、起き上がろうにも起き上がることができない!!
やっと立ち上がっても深さが1.5mほどあり、力を入れると雪渓の縁が崩れるので、這い上がるのに時間がかかった。
まず、ザック引き上げてもらい、身軽になったところで岩をテコに背面で這い上がり、見事成功!!
この間、一番驚いたのが相方のも〜りさんかも…^^
濡れただけで怪我もなかったのは、不幸中の幸いだった。

雪渓の末端は、水量が多く、濡れないで行くのは困難、どっちみち濡れてしまった靴なのでジャブジャブと沢に入り安全第一で沢下りを楽しむ^^

沢出合でドロドロに汚れたザックと雨具を少しだけ洗って、登り返し、その後は新噴火口、旧硫黄採掘場跡付近などを経て
いるうちに空が明るくなり、眼下にオホーツクの海も見えてきた。
左手にカムイワッカの湯滝も見下ろすことができる。

タクシーの予約時刻を大幅にオーバーしたけれど17:10に登山口に到着!!
あとは、10分の林道歩きでカムイワッカ湯の滝である。

大変な目に遭ったけど無事に下山できてよかったね!と喜んだその時、行く手にコロンとした可愛い子グマが
一頭遊んでいる!!
数歩下がって観察すると、子グマがもう一頭いる、となれば母グマもきっと近くにいるはず…

遠くに下がって観察していると、母グマが法面を勢いよく下ってきた。

フェンスを挟んで法面の母グマと林道側の子グマが二頭、母親の方へ行きたい子グマたちは、フェンス越しに顔を見合わせながらゲートの方へと進む。

ゲート付近で動かないクマの親子三頭


子グマ一頭は何とか母グマの元に戻ることができたようだが、その間40分かかった。


ちょうどその時、タクシーが迎えに来てくれたので、残された子グマさん一頭を横目に雨具を脱いで車内に乗り込んだ!!
待っていたはずのタクシーは、約束の時刻を大幅に過ぎたことを心配して、電波の届くところまで行き、夫と連絡を取ってくれたのだった。
運転手さんと夫には大変なご迷惑と心配をかけてしまった!!

前日の晴れから一転、風雨の中の道迷い、クマとの遭遇まで、まさにフルコースの知床縦走は、反省すべき問題点を多く残したものの、無事に帰還できて何よりだった。

 




 憧れの“シレトコスミレ” いつかは会ってみたいと願っていました。
2006年から2010年までカムイワッカ湯の滝より先の林道が通行禁止となり、
それに伴い、硫黄山への登山、羅臼岳⇔硫黄山の縦走ができなくなりました。
シレトコスミレを見るためには、羅臼岳方面から往復する以外に道はなく、
行程が長くなるので半ば諦めていした。

2011年と2012年は事前申請をすることによって、林道の通行が可能となり、
硫黄山の登山ができるようになりました。

通行が可能になった昨年から、山友のも〜りさんにお願いして今回の縦走を計画していました。
いつまた通行不可になるかわからないので、行ける時に行こう!!
日本では硫黄山から南岳周辺にかけて咲く孤高の花“シレトコスミレ”
苦労の末、ついにシレトコスミレに出会うことができました!!

天気は最悪だったけれど、憧れの花に出会えた喜びは大きく
同行してくれたも〜りさんには感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとう!!も〜りさん、これに懲りず、また連れていってね^^;
 


 


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