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アポイ岳 【北海道】 2012年5月28日

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エゾキスミレ

 

 

一昨年、アポイ岳を訪ねた時は、例年にない寒さのため本来なら見頃を迎えていたはずの花々の開花は遅れに遅れ、
期待していたヒダカソウはおろか、エゾキスミレもヒダカイワザクラさえも全く見ることができませんでした。
おまけに、前日からの雨で、登山者は私以外誰もおらず一人っきりの寂しいものでした。
日程を一週間遅らせていたら…と深く後悔しましたが、それはそれで別の収穫もあり、そこそこ満足いくものでした。

が、やはり、花咲くアポイ岳に登ってみたいという願望は捨てきれず、様子を見ながら計画を進めてきました。
航空券の“早割55”を利用するために少なくとも二ヶ月前には手配をしなければならず、
実際には3月5日に航空券を予約しました。この時点で開花状況は運を天に任せることにして、
5月下旬をその日と決めました。
今年は寒さが厳しかったので一昨年よりさらに遅れる可能性があると考えたからです。

ところが、ところがです…情報収集をしてみると、今年は5月にはいるとすぐにエゾキスミレが咲き始めた、とか、
サマニユキワリが見頃とか、様々なサイトでいつもの年より開花が早いと書かれています。
下旬では遅すぎか…もう、気が気ではありません!散々やきもきし最後は諦めモードで出かけたアポイ岳、
さあ、どのような花が出迎えてくれたでしょうか?

 

前日は、アポイ山荘に宿泊し、朝6時30分からの朝食をしっかり頂いて登り始めました。

【コース】
アポイビジターセンター06:55----五合目小屋08:20----- 馬の背09:00-----トラバース分岐09:20-----アポイ岳09:55/10:10-----吉田岳11:10/20-----アポイ岳12:05/15------幌満お花畑12:35------トラバース分岐13:10-------馬の背13:25-------五合目小屋13:45------アポイビジターセンター14:50

  

 

【アポイ岳ビジターセンター】


ここから出発です。

曇天の予報でしたが、朝から太陽が眩しい絶好の山日和となりました。
朝7:00の空気は冷たく、ブルっと寒いですが歩き出せばすぐに汗が流れるのでシャツ一枚で我慢です。

新道との分岐となる沢で靴を洗い、いよいよアポイ岳へと入ります。
下りは二年前と同じように新道を使うつもりでしたが、新道は崩落箇所があり危険とのことで通行禁止となっていました。


エゾオオサクラソウの群落が目に飛び込んできましたが、すでに見頃は過ぎていました。
その先にもたくさん咲いているはずなので、写真は最小限にとどめ
先を急ぎます。
ニョイスミレ、タチツボスミレは見かけますが、フイリミヤマスミレは美しい葉をたくさん見るのみで
肝心の花は終わっていました。


【五合目避難小屋】



五合目からは展望が開け、眼下にはキラキラ光る海が見えます。

五合目までは樹林帯だったので涼しかったのですが、ここから傾斜がきつくなり直射日光をまともに浴びるので
一気に大粒の汗が流れます。
さっそくアポイタチツボスミレ、アポイアズマギクがお出迎え、期待が膨らみます。



【馬の背】



馬の背では、サマニユキワリのピンクに混じりチングルマの白が彩りを添え、紫のミヤマオダマキも開花していました。


トラバース分岐を左に取り、山頂へと進みます。



【八合目よりアポイ岳】



ここからは先は次々に現れる花々に見惚れ超超スローペース、傷み始めたサマニユキワリにも丁寧にカメラを向けていたのですが、標高が上がるにつれ新鮮な花が見られるようになります。
そして、何より会いたいと願っていたエゾキスミレの鮮やかな黄色にヒダカイワザクラも加わり興奮も最高潮です。

下りは幌満方面なのでここは通りません!
見落としのないようにキョロキョロしながら進み、山頂到着です。

【アポイ岳山頂】


二年前は雨で何にも見えなかったけど、山頂からは白樺の梢越し青い海が見下ろすことができました。

【山頂より:吉田岳〜ピンネシリ方面】


少し休憩したら、吉田岳に向けて出発です。


【アポイ岳山頂から吉田岳へ向かいます】

笹が足に触れるのでマダニに気を付けなければなりませんね!
下り始めてすぐに小さな赤黒い点がズボンの上を動いているのに気づきました。
もしや、これが噂の“マダニ”??と立ち止まって確認すると、まさにダニそのもでした。
今日は、ダニが目立ちやすいように淡い色の服装にし、雨でもないのにスパッツも
しっかり装着した完全防備なので安心です。


【馬の背方面】

先程通った馬の背がよく見えます。朝はくっきりだった水平線がぼんやり見えています!


【三角錐の吉田岳が近くなりました】



【アポイ岳を振り返る】



【眼下にチシマザクラらしき桜が見えます】



馬の背の花の多さに大興奮だったのですが、アポイ岳〜吉田岳の稜線では期待以上の花に迎えられました。
しかも、鮮度が格段に違います。何度も立ち止まってはカメラを向けるのでペースが遅くなるのは仕方のないこと、
僅かに立ち止まっただけでも、先を行く夫との差は広がるばかり…
そのたびに夫は根気よく待ってくれるのですが、私の方は、甘やかすと図に乗るタイプなのでキリがありません^^;


【吉田岳山頂】



見晴らしの良い山頂です。

吉田岳からの眺めは最高!!花よし展望よしの気持ちのよい山頂です。
アポイ岳から少しだけ足を伸ばせば満足度120%となること請け合いです^^
ただ、ダニには注意が必要ですね!ここで二匹潰しました!!



【ピンネシリへと続く稜線】



【幌満岳方面と幌満お花畑】


手前に見えているのが幌満のお花畑です。
かつてこの地にアポイ岳を代表する花「ヒダカソウ」が咲き乱れていたそうです。
しかし、2010年以降、登山道でその花を見ることはできなくなりました。
前回はヒダカソウに会いたくて早い時期にアポイ岳を訪問したのですが、花はありませんでした。
そして、昨年も今年も…
登山者にとって幻の花となってしまったヒダカソウが復活することを願うばかりです。



さて、お待ちどう様でした〜

では、では、アポイ岳と吉田岳で出会った花々をご紹介しま〜す!!


まず、アポイアズマギクです。


五合目〜馬の背〜アポイ岳までず〜〜っと咲いていました!

【アポイアズマギク】



    

アポイアズマギクは全般的に白色が多いですが、紫色もあります。




【チングルマ】

手前はサマニユキワリです。

 

【サマニユキワリ】 





 


中央の黄色はアポイキンバイ



サマニユキワリはユキワリコザクラの変種で、葉が細長く外側に巻いているのが特徴のようです。
しかし、アポイ岳には顕著なものばかりではなく、
両者の中間的なものから完全にユキワリコザクラのように葉が楕円形で基部が急に細くなっているものがありました。
最初は個体差と考えていたのですが、↓ は、ユキワリコザクラだと思われます。


【ユキワリコザクラ?】


 

      

 

【ヒダカイワザクラ】



イワザクラの名のごとく岩と岩の隙間を埋めるように咲くヒダカイワザクラ、先日、御坂の山で見たコイワザクラに比べると
大柄な印象です。

一枚目のヒダカイワザクラ ↑ 実は、中央部のい一部分だけを写したもので三枚の写真を繋げてみました。
全体はこんなに細長い岩の隙間に咲いていました。↓

  

 

サクラソウ好きは、何時間でも眺めていたい魅力的な花です。

 

 【ミヤマオダマキ】
 
5月だというのに、もう咲きはじめていました、早いですね!

 【チシマザクラ】  


チシマザクラの特徴の一つ「葉柄と花柄の毛」を確認したかったのですが、遠くなので諦めていたらすぐ近くにもありました。

ほら、ちゃんと毛があるでしょ^^   ↓

 【ハクサンチドリ】



【アポイキンバイ】

 

   

 


アポイキンバイは、アポイ岳の峰続きのピンネシリ岳、幌満岳の他、
日高山脈北部のチロロ岳のかんらん岩に生えると図鑑に書かれていますが、私たちが見たのは吉田岳に続く稜線沿いでした。

光沢のある葉は深く切れ込んでいるのが特徴です。

 

【アポイタチツボスミレ】

    

    

 

 
アポイタチツボスミレは、かんらん岩、蛇紋岩地に咲くアイヌタチツボスミレの変種。
葉の光沢が強く裏面は紫色をしています。

 前回は探すのに必死だったけれど、五合目より上では苦労することなく見つけることができました。

 




そして、そして、今回一番会いたかったスミレです。

【エゾキスミレ】


遠くで、ミヤマオダマキ、ホソバトウキと混生しています。

 

 

 

 エゾキスミレは、超塩基性岩場の砂礫地に特産すると図鑑に書かれています。
鋭く尖った分厚い葉が特徴です。


三種類目のサクラソウは、アポイ岳で一番目に付くこれです。

【エゾオオサクラソウ】 

 

 エゾオオサクラソウはアポイ岳に入るとまず迎えてくれる花です。
入り口付近はやや見頃を過ぎていましたが、山頂でも見ることができます。
特に、トラバース道の群生は見事で、登山道の山側、谷川の両脇を飾っていました。


 【アポイシモツケ エゾシモツケ】

マルバシモツケと思って何気なく撮った一枚、後で画像を確認すると見たことがない葉…
アポイ岳だから「アポイシモツケ」と単純に考えたけれど、図鑑に載ってるアポイシモツケは葉に鋸歯があります。
柔らかそうな全縁の葉、これはいったい…何だろう?こんなことならもっと何枚も撮っておくんだった〜〜

※やはりアポイシモツケでなく正解はエゾシモツケでした!!(汗)
彩さん、お調べ下さって有り難うございましたm(_ _)m

 【ヒロハヘビノボラズ】

早池峰山、尾瀬の至仏山など蛇紋岩の山で必ず見かけますね!




【キジムシロ】




【フデリンドウ】


【エゾムラサキツツジ】



【アポイハハコの葉】

 【マダニ】



アポイ岳はマダニが生息するので注意が必要です。
アポイ岳〜吉田岳間 、幌満お花畑からのトラバース道に多くいるようです。
トラバース道を抜け分岐でダニチェックをすると、二人に付いたダニは計10匹ぐらいでした。
私たちは素肌が出ないようにしていたので、大丈夫でしたが、中には半袖、短めのパンツの方もいて,人ごとながら心配になりました。
マダニは、ライム病という恐ろしい病気を媒介するらしいので、噛まれないように注意しなければなりません。

ま、噛まれなければ心配いらない訳で、必要以上に臆病になることもないですね!!

そんなことより、低山ながら美しい高山植物に会えるアポイ岳の魅力は計り知れません!
今回は、念願のエゾキスミレ、ヒダカイワザクラ、満開のサマニユキワリに会えて大満足でした!!
季節を変えて何度でも訪れたくなりますね〜
遠すぎて何回も行ける訳じゃないけど…σ(-_-;)

周辺も絡めて効率良く回ると、本州では出会えない植物にたくさん会えて、
北海道の大自然を満喫できますね!

前日は、オオバナノエンレイソウ狙いで判官館森林公園に立ち寄ってみたら
サクラソウがちょうど見頃でした。
また襟裳岬では、エゾエンゴサクが一面に…北海道の素晴らしさを改めて感じた次第です。

翌日の伊達紋別岳のシラネアオイも圧巻でした!

いつになるかわからないけど、ぼちぼちアップしていきます

 


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